森法律事務所
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日本弁理士会が発行している雑誌「パテント」の2011年2月号(Vol.64 No.2)109頁以下に、中国国家知識産権局局長である田力普さんによる、「中国の知的財産権保護―理解しておくべき事実」という寄稿があります。この中では、中国における知的財産権に対する認識の経緯について、忌憚のないご意見を述べられておられ、大変参考になりました。

まず、田さんが1970年代末に知的財産権分野の仕事に入られたときのお話があります。

当時の中国では、8億の人口のうち、ほんのわずか数十人を除いて、知的財産権に対する認識は、私と同じだったと思います。ゼロに等しく、知識と財産を一緒に結びつけるという概念は全くありませんでした。逆に、当時の人々は一般に、知識は自由に無償で広まり使われるものだと考えており、どんな知識も社会全体、さらには全世界で共有されるべきで、費用の徴収が認められるということは理解し難いことでした。
(中略)
そこで、1970年代に「知的財産権」という語が中国語に翻訳されましたが、2000年になって初めて、中国の数億を数える学生が一般に用いている「新華字典」に正式に収録されました。
(引用終わり)


そして、改革開放時代における、現在の知的財産権制度の実施とその立法過程や討論の激しさが述べられています。

立法が決定して1990年に著作権法が公布されるまで、主要な知的財産権の法律が制定されるのに10年以上かかりました。これが、長い歴史を持つ知的財産権国際規則の、それに疎い中国における初めての運用となったのです。
(引用終わり)


そして、現在の中国の知的財産権制度の実施が中国人の創造力を引き出していることについて述べた上で、一方で、Apple社のiPodやDVDの例を挙げて、知的財産権制度の中国における実施が、欧米諸国や多国籍企業に実際の利益をもたらしている点を指摘しています。

また、中国の現状についても、率直に問題があり、不十分な制度、民衆の意識が比較的低い点、いくつかの場所・分野・製品で突出して知的財産権の侵害があることを認めておられます。

ただ、逆に、海外メディアにおいて、いくつかの問題は故意に、あるいは故意でなく誇張され、歪曲されていることも指摘されています。

最近、私は、多くの外国メディアの、知的財産権の関係した中国に関する報道に、大量のマイナス情報が氾濫しているのを目にします。そこで私の受ける印象は、『欧米諸国で注目を集めたいなら、中国を非難する。中国を非難する際に注目されたいなら、中国の知的財産権保護を非難する』ということです。

しばしば、米国メディアと政治家が引用するデータが誇張されており、事実と符合していないことは明らかなのです。(引用終わり)


中国の立場は、これまで欧米諸国が長年により培った知的財産権制度について、わずか30年ほど実施しているにすぎず、これからも長期的に努力をするということです。実際に、中国における、この10数年で立法された知的財産権関連法の数は、大変なもので、現在では、ほぼ一通りの法律は揃っていますし、改定作業も迅速です。

中国を生産拠点としてではなく、マーケットとしてみる動きはこれからも留まることはないでしょう。日本企業が中国の市場に進出する際には、是非、予め、特許権や商標権の登録等の準備を怠らなければ、仮に模倣品被害にあっても採り得る手段は少なくありません。また、仮に商標権がこちらになかったとしても、中国の商標法や、日本の不正競争防止法に該当する反不正当競争法が活用できる可能性が残っていますので、諦めずに専門家に相談していただきたいです。具体的には、日本の弁護士や弁理士と連携しつつ、現地の法律家に依頼するのが一般的でしょう。

一応、現時点の中国商標法や反不正当競争法の関連条文を挙げておきます。なお、この翻訳は、特許庁及びJETROのものに依拠しておりますので、その正確性等について保証するものではありません。

中国商標法
第 31条 商標登録の出願は,他の者の先の権利を害してはならず,他の者の既に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で先に登録することもしてはならない。
第 41条 登録された商標が第10条,第11条,第12条の規定に違反しているか,又は詐欺的な手段若しくはその他の不正な手段で登録を取得したときは,商標局は当該登録商標を取り消す。その他如何なる組織又は個人も,商標評審委員会にそのような登録商標を取り消す裁定を請求することができる。
登録された商標が第13条,第15条,第16条,第31条の規定に違反しているときは,当該商標の登録日から5年以内に,他の商標所有者又は関係当事者は,商標評審委員会にその登録商標を取り消す裁定を請求することができる。悪意による著名商標の登録の場合,その真の所有者に対しては5年間の制限はない。
前 2段落に定めた状況のほか,既に登録された商標について係争があるときは,当事者は当該商標の登録許可日から5年以内に,商標評審委員会に裁定を請求することができる。 商標評審委員会は裁定請求を受理した後,関係当事者に通知し,かつ,指定の期間内に答弁させなければならない。
引用元(PDF)はこちら

中国反不正当競争法
第5条 事業者は以下に記載する不正手段を用い市場取り引きをし、競争相手に損害を与えてはならない。
(1)他人の登録商標を盗用すること。
(2)勝手に著名商品の特有な名称、包装、デザインを使用し、または著名商品と類似の名称、包装、デザインを使用して他人の著名商品と混同させ、購入者に当該著名商品であるかの誤認をさせること。
(3)勝手に他人の企業名称または姓名を使用して公衆に当該他人の商品であるかのを誤認させること。
(4)商品の上に品質認定標識、優秀著名標識など品質標識を偽造し盗用し、または原産地を偽造して公衆に誤解させる商品品質の虚偽表示をすること。
第9条 事業者は広告またはその他の方法を用いて商品の品質、成分、性能、用途、生産者、有効期間、産地などに対し公衆に誤解を与える虚偽宣伝を行ってはならない。
広告事業者は明確なまたは知りうるべき情況のもとで虚偽の広告を代理、設計、制作、公布してはならない。
引用元(PDF)はこちら

2011年3月11日  6:30 AM |カテゴリー: ベンチャー・ビジネス, 企業法務 |コメントはまだありません

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