森法律事務所
トップページ 事務所紹介 業務内容 弁護士紹介 採用情報 所在地 お問い合わせ
 

1月も、もう中旬から下旬に差し掛かろうとしています。

昨晩は、体調が少し優れませんでしたので、今朝の更新ができませんでした。今日は、今月出された2つの最高裁判例を紹介します。いずれも、実務に与える影響は大きいと考えます。


1 破産管財人は、労働債権について、支払いの際に源泉徴収義務を負わないとする最高裁判決

平成20(行ツ)236 源泉徴収納付義務不存在確認請求事件 平成23年01月14日 最高裁判所第二小法廷 判決

原文はこちら(PDF)

「破産管財人は,破産手続を適正かつ公平に遂行するために,破産者から独立した地位を与えられて,法令上定められた職務の遂行に当たる者であり,破産者が雇用していた労働者との間において,破産宣告前の雇用関係に関し直接の債権債務関係に立つものではなく,破産債権である上記雇用関係に基づく退職手当等の債権に対して配当をする場合も,これを破産手続上の職務の遂行として行うのであるから,このような破産管財人と上記労働者との間に,使用者と労働者との関係に準ずるような特に密接な関係があるということはできない。また,破産管財人は,破産財団の管理処分権を破産者から承継するが(旧破産法7条),破産宣告前の雇用関係に基づく退職手当等の支払に関し,その支払の際に所得税の源泉徴収をすべき者としての地位を破産者から当然に承継すると解すべき法令上の根拠は存しない。そうすると,破産管財人は,上記退職手当等につき,所得税法199条にいう「支払をする者」に含まれず,破産債権である上記退職手当等の債権に対する配当の際にその退職手当等について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うものではないと解するのが相当である。


このほか、管財人は、管財人報酬については、源泉徴収義務がある旨、破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は財団債権に当たる旨を判示しています。

「破産管財人の報酬は,旧破産法47条3号にいう「破産財団ノ管理,換価及配当ニ関スル費用」に含まれ(最高裁昭和40年(オ)第1467号同45年10月30日第二小法廷判決・民集24巻11号1667頁参照),破産財団を責任財産として,破産管財人が,自ら行った管財業務の対価として,自らその支払をしてこれを受けるのであるから,弁護士である破産管財人は,その報酬につき,所得税法204条1項にいう「支払をする者」に当たり,同項2号の規定に基づき,自らの報酬の支払の際にその報酬について所得税を徴収し,これを国に納付する義務を負うと解するのが相当である。

そして,破産管財人の報酬は,破産手続の遂行のために必要な費用であり,それ自体が破産財団の管理の上で当然支出を要する経費に属するものであるから,その支払の際に破産管財人が控除した源泉所得税の納付義務は,破産債権者において共益的な支出として共同負担するのが相当である。したがって,弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタルモノ」として,財団債権に当たるというべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第6号同43年10月8日第三小法廷判決・民集22巻10号2093頁,最高裁昭和59年(行ツ)第333号同62年4月21日第三小法廷判決・民集41巻3号329頁参照)。また,不納付加算税の債権も,本税である源泉所得税の債権に附帯して生ずるものであるから,旧破産法の下において,財団債権に当たると解される(前掲最高裁昭和62年4月21日第三小法廷判決参照)。」


この判決は、管財実務に大きな影響を与えるでしょう。管財人にとっては、基本的に、従来の実務の取扱いが認められたことになり、良かったのではないでしょうか。なお、この判決は、一般の企業法務には、全く関係ないといって、差し支えないと考えます。


2 「まねきTV」事件最高裁判決

平成21(受)653 著作権侵害差止等請求事件 平成23年01月18日 最高裁判所第三小法廷 判決

原文はこちら

送信可能化権については、以下のように判示しています。

「送信可能化とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力するなど,著作権法2条1項9号の5イ又はロ所定の方法により自動公衆送信し得るようにする行為をいい,自動公衆送信装置とは,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分に記録され,又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう(著作権法2条1項9号の5)。

自動公衆送信は,公衆送信の一態様であり(同項9号の4),公衆送信は,送信の主体からみて公衆によって直接受信されることを目的とする送信をいう(同項7号の2)ところ,著作権法が送信可能化を規制の対象となる行為として規定した趣旨,目的は,公衆送信のうち,公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(後に自動公衆送信として定義規定が置かれたもの)が既に規制の対象とされていた状況の下で,現に自動公衆送信が行われるに至る前の準備段階の行為を規制することにある。このことからすれば,公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は,これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても,当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは,自動公衆送信装置に当たるというべきである。

そして,自動公衆送信が,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としていることに鑑みると,その主体は,当該装置が受信者からの求めに応じ情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者と解するのが相当であり,当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合には,当該装置に情報を入力する者が送信の主体であると解するのが相当である。

これを本件についてみるに,各ベースステーションは,インターネットに接続することにより,入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的にデジタルデータ化して送信する機能を有するものであり,本件サービスにおいては,ベースステーションがインターネットに接続しており,ベースステーションに情報が継続的に入力されている。被上告人は,ベースステーションを分配機を介するなどして自ら管理するテレビアンテナに接続し,当該テレビアンテナで受信された本件放送がベースステーションに継続的に入力されるように設定した上,ベースステーションをその事務所に設置し,これを管理しているというのであるから,利用者がベースステーションを所有しているとしても,ベースステーションに本件放送の入力をしている者は被上告人であり,ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被上告人であるとみるのが相当である。そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから,ベースステーションを用いて行われる送信は自動公衆送信であり,したがって,ベースステーションは自動公衆送信装置に当たる。そうすると,インターネットに接続している自動公衆送信装置であるベースステーションに本件放送を入力する行為は,本件放送の送信可能化に当たるというべきである。」


そして、公衆送信権侵害については、以下のように判示しています。

「本件サービスにおいて,テレビアンテナからベースステーションまでの送信の主体が被上告人であることは明らかである上,上記(1)ウのとおり,ベースステーションから利用者の端末機器までの送信の主体についても被上告人であるというべきであるから,テレビアンテナから利用者の端末機器に本件番組を送信することは,本件番組の公衆送信に当たるというべきである。」


この判決がインターネットビジネスについて、どこまでがこの判決の射程となるのかは分析もしておりませんし、不明ですので、今回は紹介のみにとどめさせていただきます。ただ、書籍配信ビジネスや動画配信ビジネスについても影響する可能性は否定できません。この判決については、これから評釈が多く出てくると思いますので、それらにも注目した方がよいでしょう。


コメントはまだありません

コメントはまだありません。

このコメント欄の RSS フィード




コメントフォームは現在閉鎖中です。

 
   
2017年6月
« 2月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
 
 
 
 
 
 
お問い合わせはお気軽に/06-6228-0505
サイトマップ
ベンチャー法務の部屋
 

RSS

HOME事務所紹介弁護士紹介採用情報所在地本サイトの利用条件プライバシーポリシーサイトマップお問い合わせ

COPYRIGHT2010 ©, 山本・森・松尾弁護士事務所 All Rights Reserved.