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旬刊商事法務2011年1/5-1/15合併号No.1920は、昨今の会社法制にまつわる話題が盛りだくさんでした。

特に、コーポレート・ガバナンスを中心とした以下のトピックについては、繰り返し、様々な立場の方から議論されていました。

・多重代表訴訟(その他、親子会社に関する規律の問題)
・監査役の監査機能
・社外取締役義務づけ論や要件(その他、取締役会の監査機能)
・資金調達にかかる企業統治

おそらく、これらは、会社法制の見直し論議が、学者や法曹関係者のみならず、経済界、企業からも関心の対象となっていることの証左であろうと思います。

この中で、いくつか気になった点としては、〜〜の制度を導入することにより、ガバナンスが向上し、企業価値を高めるという視点があり得るという(主に学者の先生方からの)意見です(p17)。これに対し、経済界は、日本企業の業績不振は、日本経済そのものの低迷によるものしかなく、日本企業のガバナンス体制や会社法制の不備に原因があるわけではなく(p93)、萎縮効果や国際競争力の低下を招く可能性さえある(p14)と反論しています。

この意見の対立は、立法事実の有無や立法の効果といった事項をさらに深く検討すべきという話もあるでしょうけれども、そもそも、もっと根本的な発想が異なっているようにも思えます。前者の制度導入によってガバナンスが向上し、それにより企業価値が高くなるという発想は、どちらかといえばパターナリスティックな発想、すなわち国家が後見的に制度を改善していくことにより、法律を遵守させて、「正しい」企業統治のあり方を実現させていくという考え方であるように思います。

一方、後者の立場は、民間企業は、国家にガバナンス体制について、干渉されるのを好まないという発想が根本にあるように思います。有り体に言えば、「ガバナンスだけでは、お金を稼げない」「最適解はこちらで考えるので、口出ししないで欲しい」ということもあるでしょうし、必要なルールは「遵守するか、遵守しない理由を開示するか(Comply or Explain)」であり、あとはステークホルダーの自己責任とすれば良いという発想があるように思います。こちらの考え方に立つと、開示すべきであったのに開示しなかったことや、虚偽の開示については、公権力が介入して、罰則を与えたり、市場から追放したりするべきであるが、情報を開示している限り、その情報を前提に採った行動については、自己責任という考え方であろうかと思います。そして、優れたガバナンス制度が企業価値の向上をもたらすのであれば、市場原理によって、自然とその制度が生き残るであろうという発想も伴っていると考えます。

このように会社法制の変更、特に、多重代表訴訟や社外取締役義務づけ論といった制度の導入については、上記の根本的な発想の対立があることを認識しないと、いつまでも、「〜〜制度は、(ガバナンスが向上するから)企業価値が向上する。」「いや、(萎縮効果等があるので)企業活動が停滞する。」といったある種の水掛け論が続くように思います。会社法を改正して実現すべきことであるのか、上場企業が求められる指針レベルとして導入するのかに関わる部分でもあります。まず、どのような思想に基づくのかを議論しないと、つぎはぎだらけの会社法になってしまうのではないでしょうか。

2011年1月18日  6:30 AM |カテゴリー: 企業法務 |コメントはまだありません

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