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表題のテーマについて論じられた最高裁平成22年1月29日判決(金融・商事判例1348号21頁)について、金融・商事判例1354号2頁以下において、検討されています。

この事例は、企業グループ内において、企業グループに属する会社への融資を目的とする会社Xが、企業グループの末端にある会社に貸し付けた際に、その会社の代表取締役Y個人が連帯保証した場合に、XがYに対して保証債務の履行を請求することが、権利の濫用に当たるとされた事例です。

代表取締役に対する(会社債務の)保証債務の履行請求が権利濫用に当たり無効とされる事例は、そう多くはないと思われますので、備忘のために、紹介します。

本事例の特徴は、以下の点です。

・請求時において、Yが代表取締役を務めていた会社は、すでに事業を停止している状況にあった。
・企業集団に属する各社が、Yが代表取締役を務めていた会社から顧問料等の名目で収入を得ていた。
・Yは、僅かな期間同社の代表取締役に就任したとはいえ、経営に関する裁量がほとんど与えられない経営体制の下で、経験も浅く若年の単なる従業員に等しい立場にあった。
・Yが代表取締役に就任した当時の同社は資金繰りが行き詰まるおそれがあった。
・本件貸付の条件が利息制限法違反等であった。
・保証契約締結を拒否することが事実上困難な立場にあった。


これらの要素を勘案して、保証債務の履行請求は、権利の濫用に許されないと判断されています。

権利の濫用は、民法第1条第3項に定められた一般法理です。このような一般法理が適用されるためには、個別具体的な状況を丹念に検討して、論じていくしかありません。本件は、企業集団によって、集団の末端企業から利益を搾取していたとさえ評価し得る事例のようであり、その末端企業の名目的取締役に対し、連帯保証契約の履行を迫った場合につき、権利濫用と判断されています。権利濫用を主張する側(本件では、Y側)は、上記のような諸要素を丹念に主張・立証する必要があります。

金融・商事判例1354号2頁以下において指摘されているように、同一の法律関係であっても、訴訟当事者や利益状況等の個別具体的事情が異なる場合にも、同様の結論が得られるかは必ずしも明確ではありません。本判決を実務にフィードバックすると、企業経営者は、名目的取締役に一方的に不合理に大きな責任を負わせることを避けるべきと言えるでしょう。また、名目的取締役の立場に立たされた場合は、納得のできない債務等に同意しないことは勿論ですが、仮にそのような債務等に応じてしまっても、あきらめずに闘うことにより、本判決のように債務から免れることもあり得ますので、あきらめずに闘うことも頭の片隅においていただければ、と考えます。

2010年12月16日  6:30 AM |カテゴリー: ベンチャー・ビジネス, 企業法務 |コメントはまだありません

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