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企業の資金調達には、大きく分けると、Debt(お金を借りる)とEquity(株を発行するのと引き換えに投資してもらう)の2種類があり、ベンチャー企業においては、一般的にEquityの方が適していることについては、以前のエントリー「ベンチャー企業のファイナンス方法の選択」 や、「大学発ベンチャーのとるべき行動」で述べたとおりです。(他の資金調達方法としては、資産を売却・証券化する等して、資産を現金化する手法も考えられますが、資産がほとんどないベンチャー企業では、現実的ではありません。また、ベンチャー企業であっても、ビジネスモデルや業態によっては、適度にDebtを加えることが望ましいケースもあります。)

では、実際のベンチャー企業が大量の資金を必要とするビジネスを展開する場合は、実務的には、どのような手法が採られるのでしょうか。言い換えると、ベンチャー企業側は、より多くの資金を投資家からコミット(約束)してもらうために、どのような提案をするべきでしょうか。なお、ここで言う大量の資金を必要とするビジネスの展開というのは、主に10億から100億を超えるレベルの資金調達をビジネスがほとんど始まっていない計画段階で調達するケースを念頭に置いています。

アーンアウト条項はその場合の1つの解になるでしょう。商事法務No.1917(2010年12月5日号)の35頁の「アーンアウト条項における検討事項」(弁護士松浪信也先生)によると「アーンアウト(Earnout)条項とは、買収対価の一部支払を買収取引の実行(クロージング)後一定の期間内に、対象事業が特定の条件を達成することに条件づけ、当該事項が発生するまで遅らせる条項をいう。」と定義されています。

具体的に言うと、投資実行時に最終的に120億円を投資することを約束する場合において、(すぐに全部を投資するのは不安だし、インセンティブをつけるためにも)そのうち60億円は、すぐに投資するけれども、残りの60億円のうち、30億円は、商品Aが完成して、市場に出た段階で払い込み、残りの30億円は、Bという発明について特許権として登録された段階で払い込むという約束をするケースになります。こういった達成目標は、「マイルストーン」等と呼ばれることがあります。

実務的には、株式引受の約束だと、株価の問題(有利発行や税務上の問題)があるため、予め新株予約権を発行した上で、投資契約にて新株予約権の行使について合意することが多いでしょう。(なお、ベンチャー企業では一般的ではありませんが、Debt Financeでも、しばしばマイルストーンが設定され、マイルストーンを達成する毎に融資枠(コミットメントライン)が増えるといった契約が締結されることがあります。)

上記論文では、M&Aが念頭に置かれているようですが、M&Aだけではなく、VC(ベンチャー・キャピタル)から事業会社への投資でも、しばしばこのようなアーンアウト条項はみられます。もっとも、日本では、Earnout Agreement を別途締結するより、投資契約や株主間契約の中で、規定されることが多いように思います。ちなみに、以前ご紹介した「DeNA社による米国のゲーム開発会社の買収」でもアーンアウト条項が用いられています。

特に、バイオベンチャーへの投資に多く見られるアーンアウト条項(「新薬の申請の認可」等)ですが、IT系や製造業系等の事業会社でも、利用し得るものです。1つの資金調達方法として、知っていると、それだけで資金調達の幅や金額がぐっと広がるかもしれません。 このあたりは、CFOの力量とも言えますので(参照「ベンチャー企業のCFOとは」)、是非、ご検討いただければ幸いです。

2010年12月15日  6:30 AM |カテゴリー: 未分類 |コメントはまだありません

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