森法律事務所
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ビジネス上の取引について、法律事務所に相談に行くと、「契約書を作成しておいた方がよいですよ」と言われることは少なくありません。

ビジネスに携わっている方は、「日本の会社には、契約書を整える文化がないので、いざというときに負けてしまう。」「契約書がもっとしっかりしていれば、このようなトラブルに巻き込まれなかったのに・・・」という言葉は、一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

今回は、本当の契約書は作成した方がよいかということについて、少しだけ考えてみたいと思います。「少しだけ」としたのは、契約の類型別に検討するとなると、とても1回のエントリーでは収まりきらないため、ほんの少しばかり思い当たることを書き連ねてみます。

契約書を作成するメリットとしては、合意した内容を文言化する(水掛け論の防止)、あとでトラブルになったときに紛争解決の拠り所とする(交渉力の増加)、履行を強制するための訴訟で証拠とする(証拠化)等が主なものでしょう。デメリットについては、弁護士費用等のコストや作成等に要する時間の他、交渉に要する時間や相手方を警戒させてしまうことも挙げられるかもしれません。

契約書のドラフティング・コスト論では、基本的に弁護士費用等のコストや作成等に要する時間がゼロであれば、契約書は作成するのがよいことだという議論を見かけることがありますが、本当にそうなのかは、もう少し商売の現場に遡って考える必要があるかもしれません。

というのも、「契約書を作成しなければ信用できない相手とはそもそも取引をしなくてもよい」という考え方もあり得るからです。契約書を作成したからといって、リスクヘッジにはなっても、そもそもの根本的な信用が上がるとは言えません。わかりやすく言えば、「払わないところは、契約書があっても払わない」「払えなくなるところは、契約書があっても払えない」というケースは少なくないということです。そういう相手方に対しては、いくら「契約書作成のメリット > 契約書作成によって減るリスクとコスト」が成り立つからといって、契約書を締結して取引関係に入ることが良い判断とは言えません。

今でも、日本の中小企業の取引では、契約書ではなく、口頭のみでビジネスを進めることも少なくなく、仮に何らかの書面が取り交わされたとしても、見積書と請求書だけということもかなりあります。この現象は、「日本の会社は、契約書を整えることで、いざというときに備えようとしない」のではなく、「日本の会社は、信用がないところとは取引しない企業文化をもっている」とみれば、それほどおかしなことではないように思います。「一見さん、お断り」には、企業存続の秘訣があるのかもしれません。

とはいえ、全ての会社が信用のある相手ばかりと契約できるわけではありません。見積書と請求書だけでは、トラブルになった場合には、心許ないという経営者の方も多いでしょう。その場合は、発注書や受注書、請書等を工夫することにより、(契約書の調印手続き等に伴う)抵抗感を相手方に与えず、且つスピードのある商売を進めることができるようになることがあります。常に、契約書の作成が最もよい解ではないことは、どこかで意識しておいた方がよいでしょう。

もちろん、契約書を作成しなければならないケースや契約書を作成することが強く勧められるケースがあります。これらについては、いずれ別の機会にしたいと思います。

2010年12月7日  6:30 AM |カテゴリー: ベンチャー・ビジネス, 企業法務 |コメントはまだありません

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