森法律事務所
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企業にとって、「人」をどう集めるかは、規模の大小にかかわらず、常に頭を悩ませる問題です。

そして、素晴らしい人が、我が社に入ったとしても、居続けてもらうことは、さらに難しい問題です。

このことは、起業家、ベンチャー企業にとっても、全く変わることがありません。
大企業ではないが故、リスクが大きいと思われているが故、1人1人が会社の成長にとって大きな影響を与えるが故に、普通の会社以上に、重要な問題といえます。

今日は、ベンチャー企業が「人」にモチベーションを与える(与えようとする)ために用いられるストック・オプションの概要について、記してみたいと思います。


■ストック・オプションとは■

一般に、ストック・オプションは、会社法の「新株予約権」を意味します。

新株予約権とは、権利者が、あらかじめ定められた期間内に、あらかじめ定められた価額を、株式会社に払い込めば、その会社から一定数の株式を交付してもらえる権利です。

とはいえ、何のことか分かりにくいですので、少し解説します。

「あらかじめ定められた価額」を「行使価額」といいます。

1.行使価額5万円の新株予約権をもらう =あなたは5万円を払えば、わが社の株1株を買う権利をもらう
2.上場して株価が100万円になった
3.新株予約権を行使して、会社に5万円を払い込んで株をもらい、それをすぐに市場で100万円で売った
4.新株予約権の行使で、95万円の利益がでた

というシンプルなストーリーを想定していただければわかりやすいかと思います。このように、新株予約権をもらうことのメリットは、とりあえず、「時価」-「行使価額」と思っていただければ結構です。

このストーリが理解できていると、新株予約権をもらった人は、「上場」や「株価を上げる」ことについて、モチベーションが上がりそうですね。


■ストック・オプション自体の価値■

ストック・オプション自体の価値を算出するためには、ブラック・ショールズ・モデル等でオプションの価格を算出するしかありません。(昔、個人的に、エクセルで算出したことがありますが、前提もあまり現実的ではない上、ボラティリティーがはっきりしないため、実務的にはほとんど意味がありませんでした。)

ここで言いたいのは、ストック・オプション自体は、価値があるということです。無償で新株予約権を取得できれば、リスク・ゼロで、利益が出るかもしれませんので、新株予約権には価値がありそうということは直感的にも理解してもらえると思います。

なお、ベンチャー企業によるストック・オプションは、通常、無償で発行されます。


■ストック・オプションと上場の関係■

基本的に、ストック・オプションは、会社が上場しないとほとんど意味がありません(=儲かりません)。上記のストーリーの2では、「株価が100万円になった」とあり、ストーリーの3で、「市場で100万円で売った」とあることからもわかるとおり、上場して株式に値がついて、いつでも買ってくれる人がいることが前提です。

ずっと、非公開を想定している会社では、あまり意味がないのです。

では、M&AでExitするケースでは、どうでしょうか。

日本では、上場することが、新株予約権の行使の条件になっているケースが多いかもしれません。上場が新株予約権の行使の条件になっている場合は、会社が上場企業等に買収されても、何も美味しいことはありません(このあたりは実はややこしい論点がありますので、新株予約権の設計にあたっては弁護士等の専門家にご相談ください。)。ただ、現実的には、買収した企業が、上場企業の新株予約権やその他の代替措置を講じるケースもないわけではありません。

このあたり、そもそも行使条件をどうするか、どの手続で定めておくべきか、どのように定めるか等のテクニカルな部分は、昨日ご紹介した本『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』の220頁「バイアウト発生時の処理」以下に触れられていますし、最終的には、弁護士等の専門家にご相談いただいた方がよいと考えます。

((2)に続きます。)

(余談)

■表題の「モチベーション2.0」について■

ダニエル・ピンク氏の『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか 』では、モチベーションについて、モチベーション1.0や2.0という旧バージョンと、モチベーション3.0という新バージョンがあるというジャンル分けをされているようです。


原理 具体例
モチベーション1.0 生存本能 サーベルタイガーの牙を逃れたいから、速く走れるようになろう
モチベーション2.0 信賞必罰 プロ野球選手の成果報酬 交通違反の罰金
モチベーション3.0 自律性、マスタリー(熟達)、目的 勤務時間の20%を主要業務とは異なるテーマに充てるルールの導入

ベンチャー企業や中小企業の場合は、特に「やりがい」や「ダイナミズム」、「扱える範囲が多い」、「経営者に近い」等、モチベーション3.0を上手く活用する必要がありますが、だからといって、モチベーション2.0の役割が無いわけではありません。上記のダニエル・ピンク氏も、モチベーション2.0に頼りすぎることに警告を発しているのであって、モチベーション2.0の役割を否定されているものではないと、理解しています。

ストック・オプションは、まさにモチベーション2.0の話と思いましたので、このような表題とさせていただきました。

2010年10月6日  1:30 PM |カテゴリー: 未分類 |2件のコメント

2件のコメント

  1. なぜ、すぐに2.0とか3.0とか、訳の分からない名称を世間では付けたがるのでしょうか。携帯電話の第2世代、第3世代のように明確な技術革新があるならまだしも、2.0とか3.0という名称の付け方をすること事態、思考停止に近いと思います。

    内部統制導入初期のような言葉遊びにまた、企業は振り回されるのでしょうか。

    すみません、いきなりのコメントですが、悪気はありません。

    今後、色々と勉強させてください。

    コメント by コンプロ — 2010年10月8日 @ 2:08 AM

  2. コンプロさん

    コメント、ありがとうございます。

    おっしゃるとおり、2.0とか3.0のネーミングをつける理由は、単にcatchyであるということ以外には、ないかと思います。

    引用させていただいた書は、ざっくりといえば、信賞必罰やお金だけではなく、やる気や意義が大事で、両方上手く使わないといけないという割と当たり前のことに加え、そのやる気や意義の部分がいかに効用があるかを証拠によって立証し、類型化し、具体化し、導入しやすくしたという点に特徴があると思います。ただ、それだけを発表しても、受けがよくない(≒あんまりお金にならない)ので、「じゃあ、web2.0にあやかって、3.0で」となっている可能性は十分あるのではないでしょうか。ちなみに、原著は、”Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us”という題のようで、内容にMotivation 3.0がでてくるようです(原著は確認してないです。伝聞です。)。

    「2.0」や「3.0」という言葉は、発信者側のマーケティング戦略と受け流して、内容的に実質のある部分だけを上手に利用するのがよいのではないでしょうか。

    コメント by 管理人 — 2010年10月8日 @ 11:26 AM

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