森法律事務所
トップページ 事務所紹介 業務内容 弁護士紹介 採用情報 所在地 お問い合わせ
 


前回のエントリー「解除条項について考える(1) ~意外と取扱いが難しい~」の続きです。

今回は、事業譲渡契約の解除と、表明保証条項は解除権と結び付くかという点を考えてみたいと思います。

■ 事業譲渡契約

事業譲渡契約は、基本的には、「事業」を売り買いする契約です。したがって、売買の対象が「事業」であるだけで、売買契約と同様に、解除条項は有効であるように見えます。しかし、実のところ、事業譲渡契約の解除は、ペナルティーとして脆弱なことが多いといわざるを得ません。

事業譲渡契約は、その履行(=事業譲渡)において、第三者を巻き込みます。とくに、取引先の移転は、相手方の同意を得て、契約の地位の移転を移転する行為ですし、従業員の異動は、雇用契約の合意解除+新規雇用という形をとります。したがって、事業譲渡契約の解除は、再び相手方から契約移転の同意を得る必要や、新規に成立した雇用契約を合意して解除する必要があります。

契約の相手方が契約移転に応じない場合や、事業の譲渡人が再度の雇用に応じない場合は、譲受人側に契約が残り続ける可能性がありますので、遡及効という効果が事実上、達成できず、解除がペナルティーとして意味をなさないことになってしまいます。それどころか、譲受人が解除権を行使したにもかかわらず、自らの原状回復義務が履行できない等という状況も起きかねません。

譲受人側が解除を企図しても、譲渡代金は取り戻せるかよくわからない上、従業員から解雇権の濫用等として労働問題に巻き込まれるリスクを負うかもしれない・・・という状況が付きまとう可能性があります。

この点は、M&Aのスキーム選択においても意外と見過ごされがちですので、注意が必要です。

■ 表明保証条項

表明保証は、M&A関連の契約や投資契約等、多くの契約に規定されています。ただ、表明保証違反は、直ちに解除権の発生につながるわけではないということが見過ごされがちです。

そもそも、表明保証条項は、ある当事者の契約締結時の「状態」「事実関係」を表明し、保証したものであり、「~します」という約束ではありません。法律的に表現するとは、債権債務関係を規定するものではないということになります。したがって、「Xは、Yが本契約のいずれかの条項に違反した場合、ただちに本契約を解除することができる。」と規定していても、表明保証違反の事実の発覚が、ストレートに、この「いずれかの条項に違反した」に該当するかは微妙です。

民法では、このような問題は、債務不履行(契約違反)の問題としてとらえるのではなく、意思表示の瑕疵・欠缺(けんけつ)の問題として、錯誤や詐欺として処理することが想定されています。しかし、錯誤や詐欺により、契約(にかかる意思表示)を無効や取消しと主張するのは、ハードルが高いことが多いです。そこで、表明保証条項を規定した場合は、「表明保証に反していたことが判明したこと」を解除権発動のリストに加えておくことが望ましいと考えます。



これまでに挙げた例の他にも、解除権が問題となるケースとしては、軽微な義務違反と判断されてしまうことへの対応 (軽微な債務不履行は、解除権が発生しないことがあり得るため、当事者にとって当該債務の不履行が重要な意味を持つ場合は、特に解除権が発生することを明確にしておくべき)や、破産等の解除権の発生要件としても否認権の対象となり得ること等の留意点があります。

契約を結ぶ場合は、契約違反時のペナルティーを意識することが重要なのは、前回申し上げた通りです。ただ、ペナルティーとして「解除権」を念頭におく場合には、そもそも解除に意味があるのか、他の法理で解除が実現できない可能性はないか、解除権と結びついているか、等に注意しながら御検討下さい。

2010年9月30日  5:30 PM |カテゴリー: 企業法務 |コメントはまだありません

コメントはまだありません

コメントはまだありません。

このコメント欄の RSS フィード




コメントフォームは現在閉鎖中です。

 
   
2017年7月
« 2月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
 
 
 
 
 
 
お問い合わせはお気軽に/06-6228-0505
サイトマップ
ベンチャー法務の部屋
 

RSS

HOME事務所紹介弁護士紹介採用情報所在地本サイトの利用条件プライバシーポリシーサイトマップお問い合わせ

COPYRIGHT2010 ©, 山本・森・松尾弁護士事務所 All Rights Reserved.